石で地元を元気にしたい! 川添石材彫刻店 4代目 川添達朗さん
”九州を愛し、地元・長崎のために情熱を注ぐ人達を毎週紹介していく『九州情熱人』のコーナー。
今回は、石で地域を盛り上げようと奮闘している地元の石材業川添達朗(かわぞえたつろう)さんを取材しました。
川添達朗さんは、長崎市の北部琴海地区で石材業を営む「川添石材彫刻店」の4代目です。達朗さんのひいおじいさんの代から続く「川添石材彫刻店」は長崎市西海町にあります。
墓石はもちろん、表札など石を使ったオブジェや雑貨などの製作・メンテナンスなどを行っている、まちの石屋さんです。達朗さんは大学を卒業後、今から6年程前に家業を継ぎ、3年前に縁あって長崎の女性とご結婚、アイディア豊富でとびきり明るいご夫人の影響で近年では「石アート」の分野にも手を広げています。石材業というと墓石のイメージが強いですが、川添さんご夫婦は若い人にももっと石に親しんでもらおうと、石の板に思い思いの彫刻を施す“石アート”の体験事業を始めました。
「夏休みの自由研究で、こどもたちがそのひと夏の思い出を彫刻して作品として持っていくっていうにをこの夏やりました。花火の絵とか家族の絵とか・・・。「これがずっと残るよ!」というと言うとチカラの入れ方も変わってくると思うので、みんな楽しんでやっていたと思います。石の素材としては御影石がメインで、お墓でも使うんですけど、端材を処分するのもモッタイナイとも思っていて・・・、石にゴムを貼って、ゴムの部分を彫刻等でくりぬく作業をしてもらって、サンドブラストという砂を吹き付けて彫刻していくっていう方法でやってるんです。」
サンドブラストという技法は、版画の要領で、文字だけでなくデザインやイラストも石に刻むことが出来ます。
取材時には実際にサンドブラスト技法を実演してくださいました。
ちなみに、大学時代の友人に自分が石屋だというアピールで結婚披露宴用のウェルカムボードを彫刻しプレゼントしたことが石アートの始まりだったそうです。
墓石を製作する際に発生する端材を無駄にぜず活かしたいというのもイイですよね。
川添さんの石材店があるのは長崎市の北部 旧琴海町の西海地区です。この西海地区は地元で採れる「西海石(にしうみいし)」とう石がある程、江戸の昔から石材業のメッカなのです。
「今はそんなに使われてないんですけど、昔は検地石で使うのは西海石っていうのが長崎県全体であって、もぅ昔から石材業が(この地域で)盛んだったっていうのは聴いていたので、それをまた未来に繋げていきたいなっていう気持ちはあります。みんなに知ってもらえる石屋さんにまずなることが目標で、お墓だけじゃなくて色んな事も出来るっていうのをみんなにもっと知ってもらうっていう作業をしていかなくてはいけないかなって、楽しいことをやっていきたいなって思ってます!」
江戸時代大村藩の御用達の石が西海石だったそうです。今でも地区中だけで5社の石材店があるそうです。昨今の石材業界について伺うと、「どうしても石自体が中国などからの輸入になってしまっているので職人の仕事が激減して衰退傾向にあるのは感じている」とのことです。が、石に関してはこれまで素人だった奥様の柔軟なアイディアとパワフルな行動力が刺激になって、自分はアイディアをカタチにしていく喜びを感じるとはにかむ達朗さんの笑顔が印象的でした。
↑西海石でできた石臼をアレンジして蓮をあしらった水瓶にしているのも素敵でした♪
墓離れや里山・庭離れなども感じる現代ですが、石を通して地元・琴海を元気にしたいと、奮闘する川添さんご夫妻からはあったかい石の可能性を感じました。(情熱リポーター 古田沙織)