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林田 繁和
2016/06/04

一人前のなり方

6月3日、普賢岳の大火砕流惨事から25年が経ち、Nスタプラス長崎では43人が犠牲となった島原の現場から中継をした。

番組の中で25年前、災害現場から全国ネットの中継を担当した入社3ヶ月の自分の姿と、49歳となった今とを並べ、時の流れや激変した島原の町の変化を感じてもらおうというVTRを制作しOAした。
そこには右も左もわからない中、ただただ必死に目の前の原稿を憶え全国ネットに臨んでいる24歳の自分の姿があった。

IMG_4805災害の規模が余りにも大きすぎて、ベテラン・新人など関係なしに任されたというのが実情だった。当時、私はレギュラー番組など持っておらず、ラジオやテレビのニュースを担当する程度。いきなりの全国放送で、随分うろたえたのを憶えている。

どんな仕事であっても最初から、一人前なんてことはありえない。

一人前になるための期間やハードルは、仕事によって当然異なる。例えば、医師のように命を預かるような仕事であれば、資格試験が存在し、見習い期間を経て一人前となる。
現場で、学びながら一歩一歩成長していき、働きに応じた報酬をもらえるようになるのだ。

10923280_649514908505369_3405900772456622831_n「ザ・前座修業―5人の落語家が語る(稲田和浩・守田梢路 著 NHK出版 生活人新書)」は、落語家、柳家小三治、三遊亭円丈、林家正蔵、春風亭昇太、立川志らくの5人の人気落語家が、「前座修行」について語ったものだ。

5人の師匠が、見習いである《前座時代》に何をし、考え、修めたのかを振り返っている。同時に、その後、弟子を持ち、感じたことも記されている。
前座時代には、あいさつの仕方から他人が気持ちよく仕事をしてもらうための気遣いやその世界のルール。そして何より芸を無報酬で教わる。
とはいえ同じ落語家の世界なのに、驚くほど師弟関係、修業の内容は師匠によって皆さんそれぞれ違うのだ。厳しかったり、放任であったり。

ただ、共通しているのは落語家になる上で、「とても大切な時間であった」ということ。

厳しい前座修行を終え、二ツ目と言う一人前に昇進すれば、昼過ぎまで寝てたって誰からも文句は言われない。
でも当然、仕事はなく食ってはいけない。落語家は基本的に個人営業。我々のような会社員とは訳が違う。仕事は自分で捜さないといけない。仕事をし報酬を貰う以上は、ミスはできないし誰もフォローしてくれない。そして自らの芸は自ら磨かねばならない。

前座と言う厳しい修行をして学ぶなかで《仕事の当たり前》が見につくのだという。

そんな厳しい世界に身を置き、6月1日、晴れて二ツ目になることを許された大学の後輩がいる。
ラッコに似ているからと、その芸名をもらった三遊亭らっ好は1991年生まれの25歳(私が右往左往しながら全国ネットを担当した年に彼は生まれている)
長崎大学落語研究会出身で学生時代には全国落語コンクールで上位に入るなど才能を開花。2013年に大学を中退して三遊亭好太郎師匠の門をたたき、落語を一から学びなおした。
9月のふるさと佐世保での公演では、大師匠の三遊亭好楽さんらとともに、口上・落語・色物などを交え、東京の寄席と同じ形式での顔見世興行を行うことになっている。
彼が何を学び、どう成長したのか、地元出身の落語家の成長をともに見守ってくださればと念じてやまない。

らっ好昇進写真

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